コロナ第7波に備える最新知識

なぜ新規感染者数は激減しているのか ワクチン効果が強調されているが…

新規感染者数は激減(PCR検査センターに列を作る人々)
新規感染者数は激減(PCR検査センターに列を作る人々)/(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナの新規感染者数が激減している。今月1日に開かれた「第86回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」に提出の「直近の感染状況等の分析と評価」にも表れている。

 全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人当たり約138人となり、今週先週比は0.73と減少が続いている。また、年代別の新規感染者数は全ての年代において減少。死亡者数は横ばいだが、療養者数及び重症者数は減少が続いている。全国の実効再生産数は5月15日時点で0.98と1を下回る水準となっている。  

 この傾向は日本だけでなく世界的なものだ。

 アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによると、今年1月中旬に全世界で400万人近くあった新規陽性者数(7日間移動平均)は6月2日時点で約50万人と8分の1にまで減少。1日当たりの死者数も2月に1.5万人に迫る勢いだったが6月2日には1602人と10分の1近くにまで減少している。感染者もそれだけ減少しているはずだ。

 専門家の多くはその理由を季節性に加え、ワクチン接種と感染により免疫が上がったためだという。 

 確かにワクチンの効果はあるだろうが、それは限定的で、それ以上に感染により免疫が獲得されたか、ウイルスが変化したため、と考えるのが自然ではないか?

 実際、1回でもワクチンを打ったことのある人の割合が20%以下の国でもいまは新規感染者数は大きく減少している。例えばジャマイカでは1回でもワクチンを打った人の割合は27.3%に過ぎないが、1日の新規感染者数は1月14日の1267人から3月17日には0人となっている。

 もっとも、新規感染者数の増減は検査数によって左右される。ジャマイカは検査数が少ないからで実際はもっといるはず、との意見もあるだろう。それは日本を含めた先進諸国も同じ。検査数が少なければそれだけ新規陽性者・感染者数は減る。世界的な感染者数の減少は各国が検査戦略を変えたせいかもしれない。

 弘邦医院の林雅之院長が言う。

「日本でも空港や港の検疫で発見される感染者数が5月末まで連日1日100人超えだったのが、6月からは1日5人程度になった。これは入国者の検疫が緩和されたためです。感染者数がこれだけ広がるとその数を把握しても意味がない、いまはどのような性格のウイルスに変化し、どう広がるかが重要であってそれを注視しようと方向を転換している国が増えていて、日本もその方向に舵を切ろうとしている。私たちも流行するウイルスについての情報に注意すべきです」

 ちなみに、冒頭の感染症対策アドバイザリーボードでは現在主流のオミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや2次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されているとしている。また、デルタ株に比べて相対的に入院・重症化リスクは低いが、感染の致命率は、季節性インフルエンザの致命率よりも高く、死亡者は、昨年夏の感染拡大と比べ、80歳以上の占める割合が高くなっているという。

 なお、海外では日本とは異なる種類のオミクロン株への置き換わりがみられる。その重症度は不明だが、警戒が必要だ。

関連記事