健康長寿に役立つ高齢薬膳

【杜仲茶】「腎」と「肝」を強化し関節と筋肉をサポートする膝の神食材

木の実杜仲茶
木の実杜仲茶(提供写真)

 長時間歩いたり、階段の上り下りがつらい。正座がきつい……。年をとるにつれて気になる「膝の痛み」。日常生活において、歩いたり座ったりする動作は、膝の関節が正常に機能することによって行われています。上半身の重さを支え続ける膝は年々負担が積み重なり、関節の軟骨が摩耗していきます。次第に軟骨の下にある骨組織も破壊されることによって、関節周辺の骨も変形が進みます。その結果、膝に力をかける動きや、曲げたり伸ばしたりしたときに痛みが起こるようになるのです。

 また、膝周辺の筋肉の老化も痛みの原因になります。膝の関節や骨を支える役割を果たす筋肉が減ったり、硬くなることで痛みが生じるのです。

 痛みのために膝をかばって動くようになると、いよいよ骨周囲の筋肉が縮んでこわばり、痛みが進行するという悪循環になりがち。生涯動ける体づくりのために、食養生に努めましょう。

 中医学では、膝の痛みは老化をつかさどる臓器「腎」の機能低下にあると考えます。腎は足腰と関係が深く、骨や髄を養う作用もあり、その働きが衰えると膝に痛みが出やすくなるのです。つらい痛みを改善するためには、何より腎を強化することが重要です。

 おすすめは杜仲茶。杜仲の樹皮は生薬としても使われるほどのパワーがあります。腎の働きを高め、とりわけ足腰のパワーアップに優れた効果を発揮。関節をしっかりと強化します。

 また、筋肉をつかさどる臓器「肝」を強める働きも併せ持ち、筋肉も強化。ガッチリと弱った膝をサポートしてくれる「膝の神食材」なのです。腰痛、筋肉疲労時にも取り入れることをおすすめします。

 さらに体を温める働きが高いので、冷え改善にも役立ちます。女性にとってはうれしい美肌効果もあり、シワ改善にもおすすめ。そのほか、精力増強、頻尿、膀胱炎といったトラブルの改善にも効果があります。

 杜仲茶はスポーツのパフォーマンス向上にも良いお茶なので、運動部でがんばるお孫さんと一緒に、こまめに飲んでみてはいかがでしょうか。

 膝の痛みを改善する杜仲茶の効能をアップさせるためには、同じく腎の作用を高めて足腰を強化する栗、くるみ、クコの実と組み合わせると良いでしょう。

■杜仲茶高齢薬膳レシピ

木の実杜仲茶

 腎を強めて膝をサポートする杜仲茶に、栗、くるみ、クコの実をプラス。杜仲茶独特の風味と木の実の香ばしさがマッチした、素朴でやさしい味わいです。

【材料】2人分
●杜仲茶  2カップ
●甘栗  4粒
●くるみ  大さじ1
●クコの実  大さじ1
●ハチミツ  適量

【作り方】
 温めた杜仲茶に刻んだくるみ、甘栗とクコの実を入れて、ハチミツを入れて混ぜ合わせる。

新著「中年女子のゆる薬膳。」(文化出版局)が6月17日に発売。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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