五十肩を徹底解剖する

断裂が大きくなると再発率40%…手術するならタイミングが大事

写真はイメージ

 ただし、実は「再断裂=手術失敗」ではありません。再断裂した範囲が一部にとどまり、残った周囲の筋肉をリハビリし、うまく鍛えられれば、そこそこの機能回復は期待できます。断裂したまま改善を目指す保存治療と同じですね。しかし、その治り具合は、完全修復例を通信簿に例えて「優」から「良」とすると、再断裂例は「良」から「可」くらいの成績です。また「不可」にとどまる例もあります。

 手術後不良例や手術困難例にも、さらに治療法があります。肩以外の部分から筋の一部を採取して断裂部に移植し補う方法や、肩甲骨に付着する筋肉全体を剥がし、腱修復部までスライドさせることで緊張なく腱板をつなぐ方法、あるいは人工関節に入れ替える方法などです。

 特に人工関節は筋肉だけでなく骨ごと交換するため、本当に治療の最終手段。万が一失敗しても後戻りができません。

 長期的な視点からみれば、大きな断裂になる前に確実に治療できるのが理想です。

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安井謙二

安井謙二

東京女子医大整形外科で年間3000人超の肩関節疾患の診療と、約1500件の肩関節手術を経験する。現在は山手クリニック(東京・下北沢)など、東京、埼玉、神奈川の複数の医療機関で肩診療を行う。

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