甲状腺がんは「早期発見・早期治療」が死亡率減少につながらない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「その結果によって、『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010』で、超低リスク群はすぐに手術をしないという選択肢が示されました。世界で初めてのことです」(杉谷教授=以下同)

 誤解がないように強調すると、甲状腺がんは放置しても問題ないのではなく、「手術せずに経過観察」。それも、超低リスクと診断された場合において、だ。

■重要なのは「種類」で説明がなければセカンドオピニオンを

 ここで私たちが知っておきたいのは、甲状腺がんには乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、未分化がん、髄様がん、リンパ腫、その他と複数の種類があるということ。

「全体の90%が乳頭がんで、超低リスクがんを含むのは乳頭がんです。一方、たとえば1~2%の頻度の未分化がんは予後が悪い。1~2%の頻度の髄様がんは30%が遺伝性で、甲状腺内に多発するため甲状腺の全摘が必須です。どの種類かで治療法が異なります」

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