感染症別 正しいクスリの使い方

【淋病】これまでの抗菌薬が効かない薬剤耐性淋菌が増えている

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 10年ほど前は、マクロライド系の「アジスロマイシン」という抗菌薬が淋菌に有効でした。この抗菌薬はクラミジア感染症も治療することが可能なので、1つの経口薬だけで2つの感染症を同時に治療することが可能だったわけです。しかし現在は、淋菌への効果が期待できなくなってしまったため、複数の抗菌薬による治療が必要になっています。

 現在、日本で使用されている抗菌薬のうち、淋菌に有効とされているのは「セフトリアキソン」と「スぺクチノマイシン」という2つの注射薬だけとされています。ただ、セフトリアキソンの耐性菌なども報告されているため、今後も動向を見守る必要があります。

 治療効果がある抗菌薬が減ってきていることも含め、性感染症は予防がとても大切です。淋病を予防するには、性行為の最初から最後までコンドームを使用することが有効とされています。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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