■決まった数値に対応する治療とは好相性
また、心臓治療でロボットを利用する範囲が広がっていくケースも考えられます。現在、心臓血管外科の領域のロボット手術は「僧帽弁閉鎖不全症に対する胸腔鏡下弁形成術」が保険の対象になっていますが、ほかの治療でもロボットが活用され始めているのです。
たとえば、狭心症などに対する「冠動脈カテーテル」をロボットが自動化して行っている施設があります。狭くなっている血管の中に細い管を入れてバルーンを膨らませ、血管の内側から押し広げる治療法です。また、大動脈瘤に対する「ステントグラフト内挿術」もそのひとつです。動脈瘤がある部分に、内部にバネを組み込んだ人工血管を留置して破裂を防ぐ治療法になります。
これらの治療は、さまざまな画像診断の結果によって、血管内のどの位置にどれくらいの直径のものを入れて、どの程度の圧力で膨らませればいいのかといった“答え”がある程度決まっています。患者さんが動きさえしなければ、それらの数値を設定するだけでロボットが人間以上に正確な処置を遂行してくれるのです。今後、診断画像データに合わせてミリ単位で動かしながら処置できるようなロボットが登場すれば、人間ではなくロボットによる治療にシフトする可能性があります。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」