今となっては一年を通して安価に買える果物ですが、台湾から日本に輸入が始まった1900年ごろは手に入りにくい食材で、お土産やお見舞いに使う高級品と位置づけられていました。日本に輸入されているバナナはフィリピン産のキャベンディッシュという品種が7割以上。一年を通して収穫はされるものの、6月は収穫量が多い月になります。輸入時は青バナナの状態なのですが、エチレンガスで追熟させることによって黄色くさせ、店頭に並ぶのです。
甘いバナナを見分けるためのコツは「シュガースポット」(黒い点々)を見つけること。皮や果肉に多く含まれるポリフェノールの一種(タンニン)が消化酵素と反応してできたもので、シュガースポットの多いバナナほど免疫力アップに関係していることも報告されています。
バナナの健康効果に関する報告は他にもあり、マウスを使った実験では、バナナ溶液を摂取した群のTNF産出量(免疫力アップの指標)が100倍以上増え、バイ菌を倒してくれる白血球の数も20倍近く増えています。
がんモデルマウスの食事に乾燥バナナを混ぜると、食べない群に比べてがんの重量が15%減少した報告もあります。
またバナナには、塩分を排出しやすくしてくれるカリウム、新陳代謝に関わるマグネシウム、そして腸内のビフィズス菌を増やす効果があるフラクトオリゴ糖や、大腸がん予防のための食物繊維が豊富に含まれています。
近年注目されているのが、なんと熟す前の青バナナです。青バナナ由来の消化しにくいデンプン(レジスタントスターチ)の健康効果がうたわれ、パウダーや加工品として注目を集めているのです。
青バナナ由来のデンプンを摂取すると、血糖値の急激な上昇抑制や、強い抗酸化作用を持つことがわかりました。また、バングラデシュ人の子供2968人を対象にした調査では、治療と並行して青バナナを14日間食べていると、バナナなしに比べて下痢症状が回復したり、腸内の短鎖脂肪酸を増やすことも報告されています。
時間栄養学的な側面からは、ヒトを対象に朝と夜で青バナナパウダーを摂取した場合、夜の方がより食後血糖値の上昇抑制効果があることが分かりました。熟しているものは朝に、未熟のものは夜に。時間によって内容を変えてみるのもよいかもしれません。
時間栄養学と旬の食材