しかしそれは、脳全体で見ると一部の変化です。特にアルツハイマー病の早期では、まだまだ健康な部分が脳のほとんどです。健康な部分の能力を伸ばせば、衰えた部分をカバーできる可能性が高いのです。
そして、アルツハイマー病と診断された後も長い経過があるのです。だから「アルツハイマー病になっちゃって」と悲観的な気持ちになるのではなく、人生をもう一度考える機会として、患者さんやご家族には捉えていただきたいのです。診断を受けた後の人生をいかに生きるか。それを考えることは、「守り」ではなく「攻め」の一歩です。アルツハイマー病というとドラマや映画では、「突然発症して、間もなく家族の顔もわからなくなって、車椅子で施設入所」のような描かれ方をされがちです。それこそ、とんでもない。脳の異常を早く知り、対応策を講じることで、たとえアルツハイマー病と診断された後でも、脳の健康寿命を維持でき、人生を情熱的に送れるのです。
敵を見極めること!
それが闘いの始まりです。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う