がんと向き合い生きていく

脳梗塞による左麻痺が起こった原因は隠れた膵臓がんだった

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 医師による救急外来での診察後、すぐに頭部CT検査が行われ、「脳梗塞、左不全麻痺」と診断されてそのまま入院となりました。

 Bさんは点滴治療を受けながら、麻痺が良くなってくれることを祈りました。奥さんはコロナのこともあってか付き添いはできず、夜遅くに帰されました。翌朝になっても、なかなか手足の動きが良くなってきません。採血が行われ、点滴は続けられました。午前11時ごろ、担当医から「肝機能も良くないので、肺や体の方も調べましょう」と言われ、肺と腹部のCT検査も行われました。

 午後になって、看護師から「先生が説明したいと言っています。奥さんは来られていますか?」とたずねられました。その後、担当医がやって来て、「奥さんも一緒に説明しますが、よろしいですね。血液の凝固に異常があります。これはBさんの今日のCT画像ですが、膵臓がんがあります」と告げられました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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