「治療」という選択肢を知っておくことは、QOL向上につながる可能性が大きい。
原発性腋窩多汗症は、基礎疾患がなく、わきに過剰な発汗が明らかな原因のないまま6カ月以上認められ、次の2項目以上が当てはまる場合に診断される。「発症が25歳以下」「左右対称性に発汗」「睡眠中は発汗が止まっている」「週に1回以上の多汗のエピソードがある」「家族歴」「それらにより日常生活に支障をきたす」だ。
「治療は、外用薬、ボツリヌス毒素の注射、重症例では薬の内服療法、さらに重症例では外科的切除や、交感神経の一部を切断する腹腔鏡下交感神経遮断術があります。最近開発された治療としては、非侵襲性のマイクロ波を用いたレーザー治療、抗コリン薬の外用薬があります」
2020年に日本初の保険適用、そして今年製造販売が承認された外用薬はいずれも抗コリン薬になる。従来の外用薬は塩化アルミニウムを主成分とするもので、非保険適用。抗コリン薬という保険適用の外用薬が登場した意味は大きい。