世界初の「がん悪液質の薬」はどんな効果を上げているのか?

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「そもそもなぜがんになるとがん悪液質ができるのかというと、がん細胞とそれに対する生体反応として、正常細胞から炎症性サイトカインが大量に分泌されるからです。それが慢性的な炎症と代謝異常を引き起こし、骨格筋の減少を伴う体重減少と食欲不振を招きます。その結果、急激に体力や免疫力が低下し衰弱していきます。だからこそ、がん患者に対しては早期にがん悪液質治療を開始することが重要なのです」

 がん悪液質は、①「前がん悪液質」②「悪液質」③「不応性悪液質」の3つの連続した病期に分類される。

「①はごく軽い全身倦怠感、食欲低下が出現する時期で終末期前期にあたります。患者さんは抗がん剤治療を受けていることが多く、通常の日常生活を過ごしています。この時期に積極的な栄養介入が必要です。②は全身倦怠感が見られ、食欲が低下、徐々に衰弱が進行していく時期です。患者さんは徐々に治療するのがつらくなり、筋力低下が表れます。終末期前期から中期にあたります」

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