世界初の「がん悪液質の薬」はどんな効果を上げているのか?

写真はイメージ

 消化器がんのがん悪液質患者を対象に行われた臨床試験では、被験者の63%に体重の維持・増加が認められ、食欲の改善も見られたという。

 ただし、肺がんのがん悪液質患者を対象とした臨床試験では、骨格筋の増加は認められたものの、筋力の有意な増加は見られなかった。筋力を維持・向上させるには、筋肉に負荷をかける運動が必要であるのは明らかだ。

 残念ながら、エドルミズの適応は、「肺がん」「胃がん」「膵がん」「大腸がん」に限られており、乳がんなどその他のがんには認められていない。

 では、この世界初のがん悪液質の治療薬は実際に臨床現場ではどのような成果が上がっているのだろうか?

「肺がん治療中の80代の男性患者さんは、4つ肝臓の転移が出現しました。体重も50キロから44キロへ激減しました。総タンパク5.1、アルブミンも1.5まで低下した。肝転移への放射線治療を行うとともにエドルミズを投与し始めたら、体重は変わらないものの『食事がまずい』と言わなくなりました。4カ月後には総タンパク6.3、アルブミン2.6まで改善しました」

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