これは痛みや腕が上がらないなどの症状がないとき、MRIや超音波検査のみで手術適応を決める十分な根拠にはなり得ないことを示唆します。腱板断裂を指摘されてもいたずらに落ち込む必要はないのです。
一方、別の研究では無症候性腱板断裂を5年間経過観察したところ、平均2.8年で、約半数に症状が出てきたとの報告があります。また、片側の症候性腱板断裂の約3割に、反対側に無症候性腱板断裂を認めたとの報告があります。無症状の腱板断裂でも、症状が出る前の早期発見と治療が大事なのです。
無症候性腱板断裂は、何らかの代償により腱板断裂が存在してもそれに適応している状態と考えられます。ただし、無症状の人がどのような条件で痛みが出るようになるのか、どのような人が痛みや機能制限を生じやすいか、これらは明らかになっていません。無症候性腱板断裂であっても、時間の経過とともに断裂の大きさが進行していないか追跡する必要があると考えられます。
五十肩を徹底解剖する