がんと向き合い生きていく

強いストレスが急激にがんを進行させたのではないか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 震災では、放射線被ばくと甲状腺がんに関してよく議論されています。ただ、Y医師は放射線被ばくとは関係ありません。

 あれから11年が経ち、がん医療、特に薬物療法は大きく進歩しました。がんの薬がうまく合えば、進行がんでも命が助かる人は増えました。緩和医療分野でも、痛みや苦しさが軽減される人が多くなりました。

 がんと診断されたその時からの緩和ケアが大切だとよくいわれます。これは、一方では「死の覚悟」を迫っているようにも聞こえます。しかしそうではなく、逆に心と体のケアが免疫能を上げ、がんの進行を抑えることにつながってくれるのではないか。私はそう考えています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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