健康の「素朴な疑問」

フケの多い人は不潔なの? 肩に残っていると周囲が嫌な顔

写真はイメージ
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 頭皮を含め皮膚は人体最大の臓器です。もちろん個人差がありますが、肌全体を1枚に広げると約2平方メートル、畳1枚分程度の広さがあり、その重さは4~7キロ程度あるといわれています。最も薄いのはまぶたで0.3ミリほど。逆に厚いのは、かかとだといわれています。

 皮膚の最大の役割は外敵から身を守ることで、皮膚は強力なバリアーを形成しています。そのために皮膚は表面から大きく「表皮」「真皮」「皮下組織」に分かれています。表皮はさらに4つの層で形成され、赤ちゃん細胞の「基底層」、少年時代の「有棘(ゆうきょく)層」、大人の「顆粒(かりゅう)層」、そして死んだ細胞層である「角質層」となっています。なぜ、死んだ細胞層である角質層が必要かといえば、レンガのように頑丈でしっかりした組織を作るからです。その角質層は日々、体から自然と剥がれ落ちていきます。古い角質層は新しく死んだ角質層にその席を譲り、体を離れていくのです。つまり、私たちは常に死んだ皮膚の細胞をまき散らし生きているのです。

 どれくらいの量の皮膚片を捨てているかというと、一説には1分間に2.5万片、1時間で100万片以上だといわれているそうです。部屋の隅にたまるホコリはその残骸でもあるのです。ちなみに、犬がにおいだけで遠くにいる人を追いかけられるのは、その人がまき散らした、死んだ皮膚のにおいを追っているからだといわれています。すべての人が皮膚の残骸をまき散らしているのなら、なぜ、目に見えてフケやアカがある人とない人がいるのか、疑問を持つ人もいると思います。それは皮膚に問題があるからです。つまり、皮膚が普段より多く、早く剥がれ落ちるために本来は少しずつ剥がれ落ちることで目に見えないはずの皮膚片がフケという形で人の目に留まるのです。

 その原因として考えられるのは細胞の成長と死のサイクルの乱れです。「有棘層」が「顆粒層」を飛び越えて、いきなり「角質層」になるからです。死んだ細胞層の中に生きた「有棘層」が現れれば、皮膚のバリアー機能が正常に働かないだけでなく、周りの角質細胞を巻き込んで大きな塊となって剥がれ落ちていく。そのために目に見える形であるフケになるのだといわれています。

 フケは不潔ではなく皮膚の異常なのです。

(弘邦医院・林雅之院長)

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