大学生の体格からみる「所得格差は健康格差」医療情報学教授が語る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■経済低迷がもたらした異変

 むしろ心配なのは、若者の体格が貧弱というか、華奢になる傾向が見られることではないだろうか。というのも、ここ10年ほどの間に、新入生が小柄になってきたと感じることが増えたからである。これは私だけが抱いている感覚かもしれないが、他大学に勤めている友人・知人の中にも、同じことを言う者が何人かいる。男子も女子もスマートになり、とくに女子では、身長が低い学生が増えた感じがするのである。

 そこでスポーツ庁(文部科学省)の「体力・運動能力調査」を眺めていくと、それらしい兆候が認められた。過去10年間のデータを見ると、大学1年生(18歳)の平均身長は、男子では12年がピークで171.72センチあったのが、年々少しずつ減って、20年には171.05センチになった。女子も同様で、12年の平均が158.69センチだったのが、20年には157.9センチに縮んだ。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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