大学生の体格からみる「所得格差は健康格差」医療情報学教授が語る

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 体重を見ると、男子は12年に62.72キロだったのが、20年には61.12キロに減った。女子は16年がピークで51.37キロだったが、20年には50.59キロだった。いずれもわずかな違いだが、平均値でそれだけ減るということは、小柄な学生が少しずつ増えてきたことを意味している。私が抱く感覚も、あながち間違ってはいないのではないだろうか。

 20年の新入生が生まれたのは、02年である。この年の2月から08年2月まで、日本経済は戦後最長の景気拡張期となる「いざなみ景気」を迎えた。しかし、これはバブル崩壊に伴う不良債権処理の加速と輸出依存によるもので、賃金が伸びず、実感なき景気拡大だった。

 その前後から「食育」という言葉がはやりだしたのを、記憶している方も多いと思う。孤食や偏食、朝食を抜く子供たちが増え、社会問題化したのである。これを受けて、政府の「第1次食育推進基本計画」が策定されたのは、06年のことだった。それがずっと続いており、昨年は「第4次食育推進基本計画」が発表された。ということは、逆に食育がうまくいっていないのかもしれない。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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