上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓手術を受ける患者に腎機能障害があるケースが増えている

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 高齢化が加速している近年、心臓手術を受ける患者さんが、同時に「腎臓」のトラブルを抱えているケースが増えています。中でも、多く見られるのが「CKD」と呼ばれる慢性腎臓病です。

 CKDは、腎臓の働きが健常者の60%以下に低下、またはタンパク尿が認められるなどの腎機能の異常が3カ月以上続いている場合に診断されます。日本では1330万人、成人の8人に1人が該当するといわれています。高齢化に加え、高血圧や糖尿病といった生活習慣病がある人が増えていて、そうした疾患のコントロールが不十分なケースが少なくないためです。

「心腎連関」という言葉があるように、心臓と腎臓は密接に関係していることがわかっています。腎機能が悪くなると高血圧や動脈硬化が進んで心臓疾患のリスクを高め、高血圧や動脈硬化は腎臓にダメージを与えます。つまり、高血圧・腎臓・心臓のバランスが崩れると、ドミノ倒しのようにすべてが悪化してしまうのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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