「心不全」は高血圧や糖尿病の薬で治す時代になってきた

写真はイメージ(C)PIXTA

■さまざまな作用機序の薬が続々と登場

「それが近年、さまざまな作用機序を持った治療薬が登場し、心不全の標準治療として確立されてきています。交感神経を抑えて心臓の動きを休めながら機能を回復させる作用がある『β遮断薬』、血圧を上げ心不全を増悪させる神経体液性因子レニン・アンジオテンシン系の働きを抑えて心臓を保護する『アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬』や『アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)』、アルドステロンというホルモンの働きを抑制して水分を体外に排出し血圧を下げる『ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬』といった薬が使われます」

 さらに最近は、電気信号により心臓を刺激する洞結節の興奮を抑えて心拍数を減らし、心臓の負担を軽減する「HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル遮断薬」や、ACE阻害薬やARBと同じくレニン・アンジオテンシン系の過剰な活性化を抑えつつ、心不全治療作用がある脳性利尿ホルモン(BNP)の分解を阻害する「アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)」といった新たな薬が登場した。大規模臨床試験では、ARNI投与群は心不全による再入院と心血管死がACE阻害薬投与群よりも2割減少したことが報告されている。

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