感染症別 正しいクスリの使い方

【夏風邪】十分な免疫を獲得していない子供が多くなっている可能性も

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 ヘルパンギーナも手足口病もワクチンや特効薬はなく、治療は対症療法となります。口の中に発疹ができるため、食べ物や飲み物が口の中に入ると痛みを訴えるケースも多く、食欲不振、脱水症状を起こす危険性もあります。その場合には、点滴で水分や電解質を補います。

 ヘルパンギーナ、手足口病ともに、2020年はほとんど流行がみられませんでした。これは手洗いの徹底など新型コロナウイルスの予防策が別のウイルス感染症の流行対策にも効果を上げたためと考えられています。

 しかし一方で、ヘルパンギーナや手足口病の原因となるウイルスに対し、十分な免疫を獲得していない子供が多くなっていることも考えられるため、今後の流行には注意する必要があります。

 一番大切なのは、病原体のウイルスを体内に取り込まないことです。そのためには、日ごろの手洗いやうがいを欠かさないようにしましょう。

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荒川隆之

荒川隆之

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

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