心臓手術を受ける患者さんに、「CKD(慢性腎臓病)」を合併しているケースが増えていることについて前回お話ししました。
心臓と腎臓は「心腎連関」といわれるくらい深い関係があり、腎機能が悪くなると血圧の管理が難しくなったり、貧血が進むなどして心臓疾患のリスクを高め、心機能が低下すると血流が悪化するなどで腎臓にダメージを与えます。
また、腎機能が悪くなると、心臓疾患に対する治療薬が使いにくくなることも影響しています。その代表的なものが「DOAC(ドアック)」という直接経口抗凝固薬です。心房細動などで心筋梗塞や脳梗塞の予防のために使う血液をサラサラにする薬です。国内では4種類が発売されていて、それまで主流だったワーファリンに代わって広く使われるようになっています。ただ、腎機能が悪化している場合、出血性の合併症を起こしやすくなるため、注意が必要です。人工透析を含む高度腎機能障害がある人は使用が禁忌とされています。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」