がんと向き合い生きていく

人工透析患者ががんになっても抗がん剤治療は不可能ではない

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 がんの発生の多くは遺伝子異常が突然起こってしまうことによります。がんの罹患数が増加している原因のひとつは、老化、つまり高齢社会にあるようです。高齢者は、免疫能が落ちる=がんが発生することに対するチェック機能が落ちてきて、罹患しやすくなっているのです。

 2019年の「全国がん登録」によると、日本でがんと新たに診断された人は99万9075人で、男性の1位は前立腺がん(9万4748人)、女性は乳がん(9万7142人)でした。2020年にがんで亡くなった人は37万8385人(男性22万989人、女性15万7396人)で、死亡総数の27.6%を占めています。1981年以降、39年連続で死因のトップです。

 一方、人工透析の患者数も少しずつ増えています。2019年の日本の人工透析患者数は約34万5000人、平均年齢は69歳となっています。

 人工透析に至った原疾患で最も多いのは糖尿病による糖尿病性腎症、次いで慢性糸球体腎炎、第3位は腎硬化症でした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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