がんと向き合い生きていく

同じがん、同じステージなのに…なぜ自分だけが再発したのか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

■抗がん剤も同じだったのに…

 10カ月が過ぎ、むかむかする感じは続いていましたが、Rさんは「あと2カ月で終わりだ」とガマンして、抗がん剤を飲み続けました。ところが、そのタイミングで受けたCT検査の結果と医師の説明に愕然としました。

「腹腔内のリンパ節が腫れています。再発です。3つの抗がん剤を使っての治療に変更します。最初は数日入院して、副作用が大丈夫であれば、2回目からは通院治療センターで行うことも考えます」

 この時は、抗がん剤治療で白血球が減るから感染に注意する、腎機能障害が起こらないように十分に水分を補給する、髪の毛が抜ける……といった説明がありました。

 Rさんはすっかり気落ちしてしまいました。そこで、夜になってFさんに状況をメールで報告したところ、すぐに「負けるな、頑張れ」との返事がきました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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