がんとの共生に「抗がん剤」は必ずしも必要ない 在宅医療の名医が語る「薬」と「延命」

写真はイメージ(C)PIXTA

「伊東さんは『でも病院の先生は抗がん剤続けてもいいって言ってるから』とおっしゃるので、本人を前にして、抗がん剤を続ける担当医師に電話をしました。担当医は、『本当は抗がん剤をやめたかったんですが、伊東さんの思いに逆らえなくて……』とお話しになりました。伊東さんは涙を流しながらその場で抗がん剤をやめる決断をしたのです」

 その後、山中医師は抗がん剤に代えて全身の炎症反応を減らし、食欲回復効果を期待してステロイド剤導入を決めた。

「結果、2週間後には食欲回復により伊東さんの体重は5キロ増え、笑顔が多くなりました。しかも伊東さんから、2カ月後の画像検査でがんが少し縮小しているとがん治療専門の先生が驚かれたとの報告を受けました」

 結局、余命数カ月と言われた伊東さんは、1年後も元気で孫の顔も見ることができた。

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