多剤、そしてポリファーマシーに至るのにはさまざまな理由があります。以前、「きちんとクスリを使っていない人はクスリが増えやすい」とお話ししたように、それも理由のひとつです。
もうひとつ例を挙げると、腰が痛いので鎮痛薬を使う→鎮痛薬の副作用で足がむくんでしまったため利尿薬を追加→利尿薬の副作用で血液中の大事な成分が少なくなってしまったのでそれを補うための薬を追加……といった具合に、クスリの副作用が連鎖して多剤が進んでいく場合もあります。この流れを「処方カスケード」といい、すでに副作用が出ているのでポリファーマシーにも該当します。これでは、なんのためにクスリを使っているかわからなくなってしまいます。
ポリファーマシーを防ぐにはいくつか対策がありますが、まずは「クスリを増やさないようにすること」が一番重要です。一方、クスリの中には、症状の改善とともにやめられるものもたくさんあります。痛み止め、かゆみ止め(アレルギー)、不眠のクスリなどがその代表的なものになります。自己判断でクスリをやめるのは絶対にダメですが、症状が改善したと感じたら医師や薬剤師と相談し、医師の指示の下でその症状に対して使っていたクスリをやめるというのはポリファーマシー対策になります。
高齢者の正しいクスリとの付き合い方