コロナ第7波に備える最新知識

熱中症も怖い…冷房下のエアロゾル対策はどうすればいいのか

エアコンの設定温度は26度以下に
エアコンの設定温度は26度以下に

 オミクロン株の派生型「BA.5」の流行で1日当たりの新型コロナの新規陽性者数が世界一になった日本。国を挙げての行動制限はしない方針を打ち出している政府は自らのメンツを保つ奇策として各都道府県が独自に「BA.5対策強化宣言」を出せる新たな仕組みの新設を決めた。

 専門家からは、空気中を漂うウイルスを含んだ微粒子エアロゾル対策の強化を求める声が上がっていることから、今後は冷房下のエアロゾル対策が問題になるのは確実だ。どうしたらいいのか。改めて公衆衛生に詳しい岩室紳也医師に聞いた。

「今夏は各地で異常な気温上昇が見られます。そんななか、電力需要が全国的に逼迫する懸念が強まり、政府は7~9月に7年ぶりの節電要請をおこなっている。そのため高齢者を中心に多くの人が冷房の室温設定28度が理想と考えて換気のために窓を開けていますが、これでは室温は30度近くに上昇します。新型コロナ対策としても不十分な上に熱中症になりかねません」

■室温設定28度は間違い

 実際、配薬のために独居老人の部屋を訪れたある薬剤師は、室温が30度を超えていたことに驚いたという。この老人は長袖を着ていて暑さを感じないと答えたという。

「一般的に高齢者は温度センサーがにぶくなっており、ただでさえ熱中症のリスクが高い。この老人は感染症対策のため窓を開けていました。すぐに冷房の室温設定を下げて、水を飲ませ、『一人のときは窓を開けなくていい』と話しました」(薬剤師)

 日本では毎年6万人近くが熱中症で救急搬送され、約1000人が亡くなっている。熱中症の4割は室内で発生しており、複数の人がいる場所で熱中症にならずにエアロゾル対策をするには室内の冷房の設定温度が重要となる。

「冷房の設定温度が28度でも、換気のため、部屋の窓を2カ所、10~15センチ開ければ、外気の熱が侵入してすぐに2~4度室温が上昇します。冷房の設定温度は26度以下にしましょう」

 新型コロナウイルスは湿度が低いほどエアロゾルは小さくなり長時間浮遊する。除湿でなく冷房にすることだと岩室医師は言う。

「エアロゾル対策で重要なのは空気の流れが体感できることです。冷房の風量に加え扇風機を回し、室内の空気を外に追い出すための流れをつくるよう心がけましょう。また、高齢者だけでなく糖尿病の人などは温度上昇に気づきにくい。のどが渇いたからでなく、1時間に1度程度の割合で水を飲みつつ、いつもの尿量が出ていることを確認し、熱中症対策にも気を配りましょう」

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