医者も知らない医学の新常識

シールを貼るだけで血圧が測れる 生体工学の専門誌で発表

強く締め付けなくても良くなるかも…(提供写真)

 血圧測定は健康管理に欠くことができない指標です。高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞などの病気の原因になりますし、重症の病気でショックと呼ばれる緊急事態になると、血圧が急激に低下することが、その発見のきっかけになります。

 このように、医療の現場でも一般の生活の健康管理でも、必要不可欠になった血圧測定ですが、その測定法には課題があります。病院などで行っている血圧測定は、腕にマンシェットという布を巻き付けて行う方法で、それを自動化した血圧計が家庭用としても普及しています。ただ、腕を強く締め付けられるのはストレスで、それだけで血圧が変動してしまう人もいます。

 連続して測定できないことも欠点です。最近ではスマホと連動した腕時計のような端末で、血圧が測定可能ですが、これは光を利用した測定法で、正確なものとは言えません。より正確で簡単で、ストレスのない血圧測定法はないのでしょうか? 今年のネイチャー系の生体工学の専門誌に、特殊なシールを皮膚に貼りつけるだけで、一日の血圧を連続的に測定できる、画期的な方法が発表されています。これは皮膚の抵抗を利用して、動脈波形という血圧の基になるデータを簡単に測定することを可能にしたもので、これが普及すれば血圧測定のストレスからみなさんが解放されることになるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

関連記事