独白 愉快な“病人”たち

現役麻酔科医みおしんさん 線維筋痛症の「痛み」との闘い

電動車いすを利用。テクノロジーや工夫でピンチはチャンスに(C)日刊ゲンダイ

 さらに、末梢血管を広げる「ノイロトロピン」と、筋肉の代謝を上げる「L-カルニチン」という薬を点滴されると、たった5分で効果を実感。それまでの薬では何の変化もなかった体が急に温かく柔らかくなるのがわかって驚きました。

 その後、同じ薬の内服薬を処方していただき、月1回の通院をしばらく続けました。2年間でペースがつかめたので、その頃から冬のL-カルニチンだけを残して、ほかの薬はやめて今に至っています。

 人生で一番つらかったのは、2010年に寝たきりになったときです。体が動かず、頭も働かず、何もできない。治療法も確立しておらず、医師も明るい材料を持っていませんでした。希望の種がないのに生かされている地獄のような日々でした。

 でも、「どうやってこっそり死のうか」と考えていたそのときに、何も知らない友人から結婚式の招待状が届いて、急に死んじゃいけない感じになっちゃったんです(笑)。「結婚式は1年後。ならば1年後に研修医に復活している自分でありたい」と気持ちが切り替わりました。小さなきっかけで大きく変わることができるという体験はそれが初めてでした。

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