自宅看取りは「在宅診療」と「介護」でこう変わった 家族の大きな負担は過去の常識

正しい在宅環境を選べは家族負担は減る(C)日刊ゲンダイ

 また、ヘルパーや看護師ら、自宅に他人を入れることを激しく断る患者や家族も少なくない。

 しかし、相性の良い介護職が介入すると結果として本人の日々の生き甲斐のひとつになるという。

「家族が留守のときに患者ひとりで置いておくのが心配なら、病院や施設ではなく、日中に一時預かりしてくれるデイサービスなどの活用も可能です。朝に迎えに来てもらい、夕方に帰ってくる。昼ごはんや入浴サービスも付きますし、他人と関わることで患者と家族の生きるモチベーションにもつながります。帰ってきたら少し疲れて、以前より薬がなくても夜は早い時間からしっかり寝られるようになる方も多いのです」

 在宅の不安のひとつに「痛い、苦しい姿を見せたくない、見たくない」という患者や家族の思いがある。

「それを、しっかりと医療で解決するのが在宅診療の役割であり、在宅医はその能力を持っていなければなりません。医療用麻薬やステロイド、鎮静薬をしっかりと適切に使うと、家族の介護への負担感が減るだけではなく、本人の痛みや苦しみが和らぎ、自立した活動につながることもあります。また、家族が望まない施設入所を勧めたり、介護環境が整っていないことを理由に、無責任に入院を勧めるケアマネジャーに対して、経験豊富な有能な在宅診療医なら側面から患者や家族に援護射撃することでトラブルを解決することもできます」

 毎年の死者が140万人を超える多死社会ニッポンでは、家族の看取りを病院に丸投げすることも不十分な介護施設に任せることも不安が残る。いまこそ自宅看取りを真剣に検討してはどうか。

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