ジムで体を動かすことは、さまざまなポジティブな効果をもたらします。
豪マッコーリー大学のオーテンとチェンは、運動不足の男女24人に2カ月、特に何もせずに生活を送ってもらい、そのあと、2カ月間ジムに通ってもらうという実験(2006年)を行っています。すると、運動後は驚くほどセルフコントロールの改善が見られたといいます。その効果とは次の通りです。
①ストレスが減る
②たばこやアルコールやカフェインの摂取量が減る
③感情のコントロールができるようになる
④家事に従事することが増える
⑤健康的な食生活になる⑥無駄遣いが減る
⑦義務や約束を守るようになる
⑧学習習慣に改善が見られる
運動は脳の回転が速くなり、生活全般に活力をもたらすことがわかっていますが、まさかこれほどまでに多面的な効果があるとは、驚きでしょう。
もちろん、中にはムキムキになってマッチョな体を手に入れたいといったシンプルな動機もあると思います。
冒頭では、ジムに通うさまざまなメリットを紹介しましたが、筋肉を鍛えたい方にも、ぜひ知っておいて損のない科学的エビデンスが存在します。特にジム通いは、とても根気のいるアクションでもありますから、なかなか腰が上がらない人にオススメです。
それこそが「運動をしなくても筋肉は鍛えられる」という米オハイオ大学のクラークらのエビデンス(2016年)です。
クラークらは、29人のボランティアを募集し、1カ月間手首に整形外科用のギプスを固定してもらいました。その上で半数に対して、毎日約10分、週5日のペースで、固定された手首の筋肉を曲げようとする精神的なイメージトレーニングを行わせたといいます。
1カ月後、イメトレをしていた半数と、していなかった半数を比較したところ、前者の方が良かったといいます。後者に比べ、実に2倍ほどの手首の筋肉を誇っていたそうです。また、カナダのビショップス大学の研究でも、オーディオCDを聞いて、週に3回筋トレを行っているとイメージしてもらったグループに、24%の筋肉増加が見られたといった報告があります。
このように脳と筋肉の間には、我々の想像を超えるつながりがあると言えます。米ワシントン大学は、想像上の運動が、実際の運動中にも活性化される脳領域と同じ箇所を、活性化させると唱えているほどです。
腹筋をしているとき、運動と同時にお腹に意識を集中していると思います。この意識を集中させるということが、実は大事。ピラティスやヨガなどのインストラクターが、「〇〇に意識を集中」と言うのは理にかなっているんですね。
もし骨折などで一時的に身動きが取れない状況になってしまっても、運動しているイメージをすることが大切。それをするかしないかで、その後の体の状態が変わってきます。例えば、散歩をしている自分をイメージし、どの部分を使っているか克明にイメージするといいでしょう。
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