高齢者の正しいクスリとの付き合い方

高齢者に多く処方されている「かゆみ止め」にも副作用がある

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 高齢になると、体にさまざまな変化が起こります。そのひとつに体内水分量の減少があり、主に細胞の中の水分量が減っていきます。細胞の中の水分は脱水になりそうなときの水分の供給源にもなります。それが少なくなるということは脱水になりやすくなるということでもあり、これは高齢者が熱中症に陥りやすい理由のひとつです。

 そして、皮膚も細胞からできています。皮膚の細胞の水分が少なくなると、皮膚が乾燥してかゆみが出てきます。高齢者では皮膚のかゆみを訴える方も多く、そうしたときによく処方されるのがかゆみ止めのクスリです。

 かゆみ止めには内服薬や外用薬などさまざまな種類がありますが、まずは内服薬についてお話しします。かゆみ止めとして使われるクスリの多くは「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。体の中でヒスタミンという物質が反応すると、かゆみなどのいわゆるアレルギーといわれる症状が出てきます。抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー症状を改善します。

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東敬一朗

東敬一朗

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

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