2021年度に日本で最も多かった性感染症…「クラミジア」を疑うべきポイント

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 近年、性感染症の一種である「梅毒」が増加していることはよく報じられているが、2021年度、日本で最も感染者数が多かった性感染症は「クラミジア」だ。

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 性感染症は、自分がつらい思いをするだけでなく、セックスパートナーにうつしてしまい、知らないうちに感染拡大に加担している可能性がある。感染したら、速やかな対策が必要だ。

 では、どのような場合にクラミジアを疑うべきか?「これだけは知っておきたい『性病』の症状と予防法」の著書がある新宿駅前クリニックの蓮池林太郎院長が言う。

「男性の場合、症状は排尿時の違和感や痛み。また、尿道の入り口から透明もしくは粘着性のある黄色っぽい膿や分泌物が出ることがあります。一方、女性はおりもの。ただし、クラミジアは男女ともに半数以上が無症状。自覚がない分、感染が広がりやすいのです」

■症状が出るのは性器に限らない

 挿入なしだったから大丈夫と思い込んでいる人もいるが、間違いだ。

「クラミジアはオーラルセックスでも感染します。そのため、症状は性器周辺に限らず、喉や目に出ることもあります。喉の感染は咽頭クラミジア、目の感染はクラミジア結膜炎といいます。まさか、クラミジアだと思わないため、喉の痛みがある場合は風邪を疑い内科を、充血気味の目が気になる人は眼科を受診しがちです」

 性器周辺、喉になんらかの症状があり、風俗店に行った・勤務している人や、複数のセックスパートナーがいる人は、性感染症に対応している病院を受診してほしい。

 受診する時は、まず問診。次に、男性では尿検査、女性では綿棒で分泌物を拭う頚管粘液検査が行われる(いずれもクラミジアの場合。症状で別の性感染症が疑われる場合は、それに応じた検査)。

 クラミジアは前述の通り、喉に感染しているケースもあり、うがい検査が行われる。クラミジア結膜炎もあるが、目の疾患は眼科領域になるので、別途、眼科を受診してもらうことになる。

 精密検査では、通常、検査結果が出るまで数日間かかる。症状が出ている場合は、結果が出る前に抗生物質などの治療薬を処方することもある。保険診療を行っている病院でクラミジアを疑う症状があれば、検査や治療は保険適用だが、症状がなければ、検査や治療は自由診療。なお、自由診療のみ行っている病院もあるため、保険診療を行っているかどうかは、ホームページなどで事前に確認するのがいい。

「男性の中には『ズボンを脱いで患部を医師に見せなければならないのか』と受診をためらう人もいますが、問診と尿検査で診断できることも多い。少しでも違和感を覚えたら恥ずかしがらずにすぐに受診してください。また、性感染症が判明したら、セックスパートナーに必ずその結果を伝えてください」

 パートナーも感染の有無を調べないと、「うつし・うつされ」を繰り返すいわゆるピンポン感染になる。女性の場合は重症化すると卵管炎を引き起こすことがあり、それが不妊症の原因になる場合もある。

 本記事では、感染者数の多いクラミジアを取り上げたが、性行為で感染する病気はさまざまで、冒頭で触れた梅毒のように、重症化の恐れがあるものもある。

「対策として、性風俗のサービスを利用するときや、決まったセックスパートナー以外とセックスをするときは、オーラルセックスでも必ずコンドームを装着しましょう。男女ともに、性交渉後はすぐに排尿し、性感染症の原因である病原体を体外に出すことも、やらないよりはやった方がいい」

 念頭に置いておきたい。

※新宿駅前クリニックは、女性のクラミジア検査は行っていません。

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