友達の思いが、みんなの願いが、届けられない……お母さんは残念に思いました。
Aさんのお父さんは、「看護師さんが言っているのは当然のことだよ。Aが治ることが一番大事なんだから」と言います。そこでお母さんは、スマホで千羽鶴の写真を撮ってAさんに送りました。そしてS子さんに電話をかけて事情を説明し、千羽鶴はAさんが退院した時に渡す約束をしました。
■一時退院後の自宅でようやく手元に
S子さんは、Aさんが千羽鶴と一緒に撮った写真を送ってくれるのではないかと期待していましたが、状況が状況です。Aさんの手元に千羽鶴は届かなくても、早くよくなってほしいと思いました。
この話を聞いたS子さんのおばあちゃんはがくぜんとして、自分の思慮が足りなかったと後悔しました。若い頃、ビルの解体工事による風塵についての文献を調べたことがあったのを思い出したのです。
がんと向き合い生きていく