漢方医学では、疲労や倦怠感には「気」が関わると考えます。「気」は体を構成する基本物質であり、生命活動を維持する原動力です。「気」のパワーダウンである「気虚」や、気の巡りに滞りが生じた「気滞」では疲労や倦怠感が生じます。
「気虚」に陥る原因は、一つは虚弱体質や病気、加齢などによる気の生成不足。もう一つは過労や休養不足により気が消耗し過ぎた場合です。
疲れや疲労感の原因がわかれば、それに対応できる漢方薬で改善が期待できます。
「気滞」の原因は、主にストレスです。抑うつ気分、休んでも疲れが取れないなどの症状を伴うことが多いです。「気虚」に対する処方には「四君子湯」。さらに食欲不振、食べてもおいしく感じない場合は「六君子湯」。血圧が低く、朝起きるのがつらい、風邪をひきやすい場合は「補中益気湯」。顔の血色が悪く、めまいや動悸を伴う場合は「十全大補湯」が処方されます。
東洋医学を正しく知って不調改善
疲れにくい体にするための漢方は? 原因に応じた処方で改善
「気虚」のケースに、いわゆるスタミナが足りない場合があります。「牛車腎気丸」や「八味地黄丸」が処方される他、赤肉類やウナギなど動物由来の滋養強壮作用がある食物を食べるとよいでしょう。
「気滞」の場合で、疲れやすさに抑うつ気分、落ち込みやすい、食欲不振が伴う場合は「逍遥散」。イライラしやすい、落ち着かない、のぼせ、よく眠れないなどが伴う場合は「加味逍遥散」や「抑肝散」がよいでしょう。
漢方医学では自覚症状のみならず、舌診や腹診、脈診などの診察から収集した情報を総合的に判断し、最も合う漢方処方が選ばれます。決して自己判断せずに専門の医師や薬剤師に相談してください。