ESDは、内視鏡に装着した高周波ナイフでがんの周りの粘膜を切り、その下部にある粘膜下層を薄くはぎ取ることで、がんを切除します。内視鏡を扱う医師が、切除する範囲や形を思い通りに決められるため、2センチ以上の病変を切除することができるのです。
今回、国立がん研究センターなどのグループは2013年から2年間、ESDを受けた1883人を登録。その結果、5年生存率は93.6%。8人(0.5%)に再発が認められましたが、いずれも内視鏡で切除できています。従来の内視鏡に比べてESDは、がんの取り残しが少なく、再発リスクも低いことが明らかになったのです。
大腸の壁は2~3ミリと胃の半分ほどの薄さ。ちょっとした操作ミスが、出血や穿孔(せんこう)につながりますから、そこを薄くはぐのは高い技術が必要なのです。
今回の研究では穿孔が2.9%、出血が2.6%に認められたものの、多くはそのときの追加処置で対処できていて、外科手術が必要だったのは0.5%でした。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵