医者も知らない医学の新常識

腎臓の結石は小さくても危険? 米国の一流医学誌が論文掲載

小さな石も放置するとその後の痛みの原因に…(C)日刊ゲンダイ

「尿路結石症」は腎臓から尿管、膀胱につながるおしっこの通り道に、硬い結石という、目で見ても石のような塊ができる病気です。カルシウムなどを中心にして、尿中の排泄物の一部が固まってしまうのですが、肥満など生活習慣病と関連が多いことも分かっています。

 腎臓にできる小さな石は無症状ですが、より大きな石が尿管で詰まると、耐えられないような痛みの発作が起こります。石が自然に下に落ちれば痛みは治まるので、まずは保存的に様子を見ますが、改善しない場合には衝撃波や内視鏡で石を砕いて取り出す治療を行います。

 内視鏡の手術では、痛みの原因となった石だけを取り出すことが多いのですが、実はもっと小さな症状のない石でも、放置するとその後の痛みの原因になる、という指摘があります。今年のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンという一流の医学誌に掲載された論文によると、内視鏡による手術の時に無症状の小さな石も一緒に治療すると、しない場合と比較して、8割以上もその後の痛みの発作が予防された、という結果が報告されています。

 腎臓に超音波検査で見つかるような小さな石は、そのままにしておいて心配ないと思われがちですが、今後はそうした常識が変わることになるかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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