役に立つオモシロ医学論文

子供と暮らしている大人はコロナに感染しにくい 米国で研究報告が

写真はイメージ

 新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、子供の重症例は少ないことが報告されていました。その理由として、子供は風邪をひく機会が多いことから従来のコロナウイルスに対する免疫があり、この免疫が新型コロナウイルスに対しても保護的に働いている可能性が指摘されてきました。

 小さな子供と接する機会の多い大人は、そうでない大人と比べると、子供がひいた風邪をうつされるリスクが高まります。つまり、子供と暮らす大人では、新型コロナウイルス感染症にかかりにくい可能性があるのです。そのような中、成人における新型コロナウイルスの重症化リスクについて、子供と接する機会との関連性を検討した研究論文が、米国科学アカデミー紀要の電子版に2022年7月27日付で掲載されました。

 この研究では、米国に在住している312万6427人が対象となりました。研究参加者は、0~5歳の子供と暮らす成人、6~11歳の子供と暮らす成人、12~18歳の子供と暮らす成人、子供と暮らしていない成人の4グループに振り分けられ、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化のリスクが比較されています。

1 / 2 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事