夏真っ盛りのこの時季から旬を迎えるカンパチはブリやヒラマサの仲間で「ブリ御三家」のひとつとされています。頭部・左右の目から背にかけて斜めに走る太い暗褐色の線(斜走帯)があり、顔を正面から見ると八の字に見えることから「間八」と呼ばれています。
出世魚としても有名で、稚魚をモジャコ、成魚になるにつれて、関東では35センチ以下のものをシオッコ、60センチまでをシオゴ、80センチまでをアカハナ、80センチ以上をカンパチ、関西では60センチまでのものをシオ、60センチ以上はカンパチと呼び、さらに地域によってもさまざまな呼び名が飛び交う面白い魚です。そんなカンパチはブリに比べて脂質が少なく、あっさりとした味が特徴的。100グラム当たり129キロカロリーという低エネルギーなのも魅力です。
また、筋肉の収縮や神経伝達を助けてくれたり、体内の塩分を外に排出してくれる働きのあるカリウムの含有量もカンパチはトップクラス! 100グラム当たり490ミリグラム含まれています。カリウムが豊富といわれるバナナが100グラム中360ミリグラム、メロンが350ミリグラムなのを考えると、カンパチのカリウムの豊富さが実感できます。1万人以上を対象としたデータによると、昼間のカリウム摂取量は足りていないことが明らかになっていますので、ぜひお昼に食べたい食材と言えるでしょう。
さらに、悪性貧血の予防に役立つビタミンB12、体内の不要物を強力に排出して老化やがん予防に大きな効果があるといわれているセレン、皮膚炎、下痢、精神神経症状の予防に役立つナイアシンは、なんとカンパチ100グラムを食べることで年齢や性別による差はあるもののほぼ1日の基準量を満たすことができるほど豊富に含まれています。ビタミンB12は葉酸と一緒にとると、造血作用のパワーアップが見込めることがわかっています。葉酸を多く含む大葉やアサツキを薬味にしてもいいでしょう。
さらには、正常な骨格と歯の発育を促し、骨粗しょう症予防にも役立つビタミンDも多く含まれています。厚生労働省が出している「日本人の食事摂取基準2020年度版」によると、18歳以降の多くの世代でビタミンDの平均摂取量の目安量を下回っていることがわかっています。油に溶けやすい性質があるので、より吸収を上げるならカルパッチョなどもおすすめです。
時間栄養学と旬の食材