医者も知らない医学の新常識

痛風発作の後は心筋梗塞に注意! 2カ月以内の発症確率は2倍

写真はイメージ(C)PIXTA

 痛風は尿酸の結晶が関節で炎症を起こす病気です。尿酸がたまりやすい体質のある人が暴飲暴食をしていると、突然足の指の付け根が赤く腫れあがり、歩くことも困難な状態になります。これが痛風発作です。医療機関では、発作を痛み止めなどで抑えてから、血液の尿酸値を下げる薬を使って発作予防の治療をするのです。

 これまで痛風の治療は、尿酸値を下げることと発作を予防することが重要と考えられてきました。しかし最近では、痛風を持っていると、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化によって起こる病気のリスクになることが注目されています。体に炎症が起こると血液の状態が変化して、その後に血栓症などの病気が出現しやすくなります。痛風も関節の炎症ですから、その後に血栓が出来やすくなる可能性はあるのです。

 今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという医学の専門誌に、痛風発作と心筋梗塞や脳卒中との関連を研究した論文が掲載されています。イギリスで6万人以上の痛風患者を調査したところ、痛風発作後2カ月以内に心筋梗塞や脳卒中を起こす確率は、発作の前の2倍近くに増えていたのです。

 痛風発作の後は他の病気の発作も起こりやすいので、体調には十分注意をする必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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