血液型と病気

血液型を決める「糖鎖」が医学分野で熱い注目を浴びている

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 1月からスタートした本連載も最終回となりました。ABO血液型と感染症、がん、血栓症の関係で、現在までに分かっていることを紹介してきました。血液型と病気というテーマは、世間では「キワモノ」的な扱いを受けていますが、いかがだったでしょうか。

 血液型を決めているのは「糖鎖」と呼ばれる物質です。糖鎖は単糖と呼ばれる基本的な化学物質が、鎖状に連結してできたもので、栄養学的には炭水化物と同義語です。生体のエネルギー源という役割のみが強調されてきたため、いまやダイエット信奉者から目の敵にされています。

 ところが医学分野では、もっともホットな研究分野として注目を集めているのです。さまざまな種類の糖鎖が全身の細胞膜に発現しており、細胞同士のコミュニケーションや、機能調節に使われていることが分かってきたからです。

 とくに、がんとの関係が重視されています。細胞ががん化すると、表面の糖鎖が変化したり、特定の糖鎖が大量に発現することがあります。そのため、さまざまな糖鎖が腫瘍マーカーとしてすでに使われています。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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