上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

熱中症にならないためには1日3回の「体温測定」が効果的

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 前回、心臓トラブルがある人は熱中症になると重症化しやすいとお話ししました。このところだいぶ暑さがやわらいできましたが、9月になっても急に気温が上がると熱中症を招くケースが少なくありません。引き続き注意が必要です。

 そうした高リスクの人はもちろん、健康な人でも、まずは熱中症にならないことが大切です。そのための対策として、とても効果的なのが「体温測定」です。

 熱中症というのは、大量の汗をかくなどして体内の水分が失われ、それ以上は汗をかけなくなって体温を下げることができなくなり、さまざまな臓器に障害が起こる病態です。個人差はありますが、一般的には体温が37.5度以上あるときは危険性が高まるとされ、体温が39度以上あるときは脱水が深刻で危険な状態といえます。脳の温度はそれ以上になることもあり、思考停止状態になるケースさえあります。いわば起きたままでの意識もうろう、不明状態です。つまり、体温の上昇が熱中症の「サイン」になるのです。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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