上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓にトラブルを抱えている人の正しいエアコンの使い方

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 酷暑から解放され、朝晩は過ごしやすくなってきました。とはいえ、9月に熱中症で救急搬送された人の数を見てみると、2020年は全国で7085人、21年は2355人となっていますから、やはり注意が必要です。

 熱中症ももちろんですが、健康維持のためには「室温=環境温度」を適切に整えることがとても重要です。現代人の多くで問題になっている睡眠不足や便秘を改善するためにも、環境の良いところに身を置くようにすることが大切になります。そのための手段として、風通しを良くするために、古くは網戸、近年ではエアコンが主流で活躍しています。心臓にトラブルを抱えていたり、薬をいくつも飲んでいる人は、とりわけ体温の管理や体液のバランスを維持することが重要で、それらを安定した状態で管理するにはエアコンを適切に使って室温=環境温度を整えることがとても大事になります。

 ただし、エアコンを正しく活用する際にはいくつか注意点があります。まず、古いエアコンを使っている場合、フィルターの劣化や掃除が不十分になり、アレルゲンをまき散らしてしまうケースがあります。私自身、アレルギーによって、築年数が古い施設に赴くと頻繁にくしゃみが出る傾向があります。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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