老親・家族 在宅での看取り方

救急車を呼ぶべき? 患者家族からの問い合わせにどう答えたか

在宅医療は患者さんの思いに寄り添うことも大切な仕事のひとつ

 在宅医療を始められる患者さんはさまざまな事情を抱えています。患者さんやご家族の思いをできるだけ伺いながら、納得の上で療養を進める在宅医療は、そんな患者さんの思いに寄り添うことも大切な仕事のひとつだと考えています。

 たとえささいな要望であろうと、それをかなえることが患者さん自身のQOL(生活の質)を高めることにつながるからです。

 最期まで自分の意思で生活をすることが比較的しやすい自宅ではADL(日常生活動作)の低下を遅らせることができます。中には仕事を持ち最期まで自宅での勤めを全うしたいとの思いの方もいます。そんな自宅での仕事を続けたいという思いから最近、在宅を選ばれた方がいました。

 その患者さんは奥さま、娘さん2人、猫というご家族と同居する80歳の男性。骨髄異形成症候群や器質化肺炎、心房細動という病気を患っていました。執筆業に就いており、長女のサポートを受けながら続けています。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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