「幸せな最期」を迎えるためにはどうすればいいのか?看取りの名医が指南

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 一見、意識状態が良好であっても、最期が近づくと自然な経過で食事が食べられなくなってくる。すると2週間から1カ月で看取りを迎えるという。

「ただ、食事が取れなくなったといっても、がんの患者さんは別の原因があるかもしれません。抗がん剤や過剰な投薬により、吐き気が強くなったりすることで人為的に食欲低下が著しくなっている場合があります。また、麻薬やステロイドをうまく使っておらず、がんによる痛みや倦怠感の激しさから食事が取れない方もいらっしゃいます」

 その場合には、抗がん剤を即座に中止。麻薬やステロイドなどにより痛みを緩和することで食欲が回復し結果として延命につながることも少なくないという。

「それでも、がんは必ず治るという病気ではなく、緩和や延命はいつまでも続きません。自然と食事や水分が取れなくなり、意識状態も少しずつ弱くなり、傾眠傾向が続くようになります。最期の時間が近づくと『水分も取れないのはかわいそう』という家族もいますが、最期の時間に向けては体は『ドライ』に保ち、少しずつ枯れていくように最期を迎えられるよう準備を進めていきます。ここまでくると、最も良い方法は『何もやらない医療』の選択です」

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