「幸せな最期」を迎えるためにはどうすればいいのか?看取りの名医が指南

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 それでも、どうしても水分を体内に入れてあげたい場合には、血管からではなく腹部から「皮下点滴」をゆっくりと体に染み渡るように少量入れるという。

「『最期の食事ですね』という言葉をかけてあげると、家族も涙を流しながら、その時間を受け入れてもらえます」

■「治す」という意識を変える

 終末期において、「せん妄」などの精神的な不安定さが出る患者もいる。中には、心の底に秘めた昔の彼女の名前や苦しい体験などを口走るのではないか、と心配する人もいる。しかし、そうしたケースはほとんどないという。

「せん妄状態の人の口から出る言葉の多くは、肉体的な痛みや倦怠感についてで、精神的な苦痛についての事柄はほとんどありません。医師によっては、せん妄が出ると薬の副作用を疑い、麻薬の量を減らしたりしますが、意外なことに逆効果になることがあります。痛みや苦しみを取るための麻薬やステロイドは、適量を使うと他の薬に比べて副作用もほとんどない。私は積極的に使うべきだと考えています」

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