夜が長い秋にぐっすり眠るためには…「布団乾燥機」を活用する 医師が解説

布団乾燥機で布団内を理想的な温度に保つ
布団乾燥機で布団内を理想的な温度に保つ(C)日刊ゲンダイ

 長く続いた酷暑が終わり、寝苦しい夜が少なくなってきた。日照時間が短くなる秋は、本能的に睡眠時間が長くなる。だからこそ、しっかり眠ることが大切になる。夏に蓄積した疲れをリセットするためにも質の高い睡眠をとる必要がある。その大きな助けになるのが「布団乾燥機」だという。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に聞いた。

 秋に質の高い睡眠をしっかりとるための重要なポイントは布団内の「温度」の管理にあるという。

「日本睡眠科学研究所の研究では、最も熟睡できる理想的な布団内の温度は『33度±1度』であることがわかっています。人間の体には、表面体温の他に、内臓を含めた体の中心部の体温である『深部体温』があり、深部体温が下がることで深い睡眠に入っていくようにできています。ですから、質の高い睡眠をとるには、布団内を理想的な温度に保つことが大切です。われわれの体には、布団に入って体の表面が温かくなると深部体温も上がるため、汗をかいて放熱することで深部体温を下げようとする仕組みが備わっています。この働きにより、布団内が温かくなり33度前後の温度が維持されるのです」

 しかし、寝具がしっかり乾燥していないと、通気が悪く汗が蒸発しづらいためにうまく放熱することができなくなる。その結果、深部体温を下げる働きが妨げられ、睡眠の質が低下してしまうのだ。また、これからの季節は朝晩が冷え込んでくる。室温が18度以下になると布団内の温度も下がって体が冷えるため、脳は深部体温を上げようとして交感神経を優位にする。そうなると睡眠の質が落ちてしまうので、やはり布団内の温度を維持する必要がある。

「脳にとって最適な温度は、人類共通で22~24度であることがわかっています。ですから、秋から冬にかけてはエアコンで22~25度の快適温度をキープしながら、布団内は33度前後を維持するのが理想的です。いわゆる『頭寒足熱』を実践することで、質の高い睡眠をとることができるのです。布団内の温度を温かくするために電気毛布などの温熱寝具を使用するのはおすすめできません。深部体温は、寝る前、就寝中、起床時で1度くらい変動します。しかし、温熱寝具は体全体を機械的にずっと温め続けるので、いつまでも深部体温が下がらずに睡眠の質が落ちてしまうのです」

■就寝2時間前に30分使用

 寝具をしっかり乾燥させ、布団内の温度を適度に保つために有効なのが「布団乾燥機」だ。梶本氏も普段から活用しているという。

「就寝前の2時間くらい前に30分ほど使用すると、掛け布団も敷布団もしっかり乾燥し、布団内の温度も適温になります。布団に入ってから3~4時間は温かいので血流が増えて副交感神経が優位になり、入眠しやすくなります。さらに時間がたつとだんだんと寝具が冷めていくので深部体温もタイミングよく下がり、熟睡することができるのです。乾燥した布団が就寝中の汗もしっかり吸収して放熱できるため、布団内の温度も維持できます。湿度が高くジメジメした時季や寒い冬だけでなく、季節を問わず布団乾燥機を活用すれば、質の高い睡眠をとるための大きな助けになります」

 また、最近の電気毛布の中には、搭載された室温センサーで部屋の温度を感知し、自動で温度を設定するタイプが登場している。布団内の温度を維持するために、こちらを活用する手もある。

「われわれの深部体温は朝の4時から6時ごろに最も低くなります。そして、起床時間に合わせてコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールには交感神経を活発にして血圧、血糖値、体温などを上げる働きがあり、脳や体が覚醒するのです。つまり、すっきりと目覚めるには、コルチゾールが分泌されてしっかり体温が上がることが大切になります。しかし、加齢とともにコルチゾールの働きが低下し体温は上がりづらくなるので体もこわばりがち。たとえば、深部体温がまだ低い朝6時ごろに起きようとしても、腰や関節が痛むケースが増えるのです。温度センサーと連動している電気毛布は、気温が下がる明け方に布団を温めて体温を上げることができるので、より良い寝覚めを補助するのです」

 秋にぐっすり眠るためにも、寝具を最適な状態に保つ家電製品を活用したい。

関連記事