医者も知らない医学の新常識

人工甘味料で脳梗塞の危険がある 英国の医療雑誌が報告

写真はイメージ

 カロリーがなく甘みが強い人工甘味料は、もともとは砂糖の代用品として開発されたものです。今ではダイエットの強い味方として、ジュースやお菓子など、多くの嗜好(しこう)品に広く使用されています。

 砂糖の入っている普通のジュースを飲んでいた人が、それを人工甘味料の入った飲み物に代えれば、カロリーは減少しますから、肥満や糖尿病などの予防にもなると、普通に考えればそう思えます。しかし、人工甘味料に健康効果があったとする報告がある一方で、むしろ体重が増加して、糖尿病などのリスクも増加した、というような報告もあるのです。

 これは確定したものではありませんが、人工甘味料の刺激により、空腹感が増強されて過食になるのではないか、という研究もあり、腸内細菌に悪影響を与えるという報告もあります。人工甘味料には本当に危険があるのでしょうか?

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、フランスで10万人以上を対象とした研究結果が報告されました。それによると、人工甘味料を多く取っている人は、心臓病や脳卒中などの病気のリスクが9%、特に脳梗塞などの脳血管の病気のリスクは18%も増加する、という結果が得られています。

 人工甘味料がすべてダメ、ということではありませんが、それに頼り過ぎることにも危険がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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