健康長寿に役立つ高齢薬膳

【青じそ】殺菌効果が高く消化不良を防ぐ「魔法の葉っぱ」

梅しそ風味のナガイモ雑炊(提供写真)
梅しそ風味のナガイモ雑炊(提供写真)

 食後しばらくしてから気持ちが悪い、ひどい下痢……。「食あたり」はシニアにとって、体力低下の大きな原因になりかねません。シニアは抵抗力が落ちているため、食あたりしやすい傾向があります。持病がある場合は、なおさらわずかな細菌でも症状が重くなりやすいのです。

 食あたりの主な症状である下痢や嘔吐は体内の水分を奪い、脱水状態を引き起こします。高齢の方の場合、嘔吐物を喉に詰まらせてしまう危険もあります。食あたりというと、湿度が高い梅雨や夏に多いイメージがありますが、行楽シーズンの秋も野外での食事が増えるので注意が必要です。

 薬膳において、食あたりに高い効果があるとされるのが「青じそ」。症状を改善するとともに、殺菌効果が高く、消化不良を防ぐ効果があるのです。とくに、魚介類の解毒作用に優れた効果があるとされています。「紫蘇」という名前の由来は、中国の名医がカニを食べすぎて具合が悪くなりのたうちまわっていた若者に紫色の草を食べさせて蘇らせた、という話もあるほど。刺し身のつまとして添えられているのは、飾りの意味だけではないのです。

 青じそは、食あたりだけでなくじつにさまざまな効果がある食材です。発汗を促して悪寒を追い払い、冷えを改善。冷えによる胃痛にも役立ちます。風邪の初期症状で寒けがするというときも、青じそをたっぷり取り入れると効果的です。

 また、気の巡りをよくしてストレス解消にも役立ちますし、ストレスで胃が痛むというときのお助け食材でもあります。さらにはアレルギー症状に対する効果が高く、花粉症の改善にもおすすめです。そのほか夏バテ、吐き気にも効果を発揮。体調管理のために大いに利用したい「魔法の葉っぱ」のような存在といえます。

 食あたりは、消化をつかさどる臓器「脾」の働きが低下したときにも起こりやすくなります。脾の働きを高めるナガイモ、カボチャ、豆類、きのこ類も併せて取り入れるとよいでしょう。抗菌力が高く、整腸作用に優れた梅干しと組み合わせるのもおすすめです。

■青じそ高齢薬膳レシピ

梅しそ風味のナガイモ雑炊

 食あたりの改善に役立つ青じそ、優れた抗菌作用のある梅干し、脾を強めるナガイモを組み合わせたレシピ。加熱したとろろが、しみじみやさしい味わいの雑炊です。

【材料】2人分
●ナガイモ  150グラム
●青じそ  8枚
●梅干し  2個
●ごはん 茶わん2杯分
●A(だし=2.5カップ、醤油=大さじ1、みりん=大さじ2分の1)

【作り方】
 鍋にAを入れて熱し、ごはん、皮をむいてすりおろしたナガイモを入れてひと煮立ちさせる。器に盛り、千切りにした青じそと梅干しをのせる。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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