がんと向き合い生きていく

恐山と玉川温泉には“救い”を求める人々が集まっていた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 先日、NHKの番組でタモリさんが下北半島の恐山を訪れているのを懐かしい気持ちで見ていました。

 50年ほど前になりますが、およそ半年間だけ下北半島の大畑町にある病院に月曜日から火曜日午前中まで毎週勤めていた経験があります。月曜日は外来診療、午後は往診、そのまま当直、火曜日は朝から数人の胃X線造影検査を行いました。

 病院から最寄りの大畑駅までは、野辺地駅、下北駅で乗り換えがあります。吹雪の中、駅のホームで電車を待つのは大変でした。また、陸奥横浜駅近くで見えた一面の菜の花畑がとても印象に残っています。

 恐山には、5回以上は訪れたと思います。途中、足の太い寒立馬に遭遇することがありました。赤い橋があって、三途の川、賽の河原がありました。もうこの世ではない、石を積んだ小さな山がたくさんありました。そこには植物が生えていません。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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