役に立つオモシロ医学論文

自営業の女性はストレスがなく健康? 肥満が34%少ない

職場での性差別が心理的ストレスに(写真はイメージ)

 海外の研究によれば、会社などに雇用されている女性の心理的ストレスは、職場内での性差別や不当な評価、仕事と家庭の両立困難が主な要因として挙げられています。これらの心理的ストレスはまた、心臓病の発症リスクを高めたり、メンタルヘルスの悪化につながる可能性も指摘されています。

 一方、自営業の女性では、性差別を受けにくい就労環境にあり、仕事と家庭の両立も維持しやすい傾向にあるといえるかもしれません。雇用されている女性が感じているようなストレスが少ないことから、自営業の女性では健康状態が良好な可能性もあります。そんな中、自営業の女性と、健康状態の関連性を検討した研究論文が、女性の健康問題を取り扱う専門誌に、2022年7月23日付で掲載されました。

 米国ミシガン大学のデータベースを用いたこの研究では、働く女性4624人が対象となりました。研究に参加した女性は、雇用されている人(3877人、平均59.1歳)と、自営業者(747人、平均61.6歳)に分けられ、高血圧、肥満、糖尿病、うつ病、心理的な問題の有無など、健康状態との関連性が検討されています。なお、結果に影響し得る年齢、婚姻状況、労働時間などの因子について、統計的に補正して解析されました。

1 / 2 ページ

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

関連記事